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十五章 「涙を流したわけ」

Penulis: 桃口 優
last update Terakhir Diperbarui: 2025-06-15 02:53:19

「まずは、悠希がそんな風に言ってくれたこと、私のことを考え思ってくれたことはすごく嬉しいよ。ありがとう」

 彼女は、静かに口を開いた。

「でも、」

「でも??」

 僕は、なぜか胸がそわそわした。

「でも、どんな頑張っても、できないことってあると私は思ってる。これから私がする話を悠希は理解できないだろうし、悠希に私を救うことは絶対にできない」

 彼女は、はっきりと僕のさっきの言葉を否定した。

 でも冷たく厳しいというよりも、切ない感情が彼女から感じられた。

 また、彼女の心の扉は固く閉ざされた。

 開きそうになったとしても、何かがきっかけでまた閉じることもあるだろう。でも、僕にはそれが何のせいかわからなかった。

 僕は「どうして?」と思ったけど、まずは彼女の話を聞こうとあえて何も言わなかった。

 相手の気持ちや思いを聞くことは大切だともわかったから。

「まずは、前のデートの日のことを私は本当は全部覚えていたよ。自分が言った言葉も、悠希がタクシーを呼んで家まで送ってくれたこともね。悠希は私がそのことを全く覚えていないと思っていたよね」

「うん、そう思っていたよ」

 彼女は前のデートの日のことを覚えていた?

 それなのに、いつもと変わらない感じで僕と話ができた??

 驚きとたくさんの疑問が頭の中にいっぱい浮かんだけど、僕はそれらをできるだけ表情に出さずにそれだけ言った。

「その時点で、悠希が何をしてくれても、私の辛さが理解できないじゃないかと思った。あの言葉は、単純なものじゃない。私の中で辛い気持ちが限界を超えたから、あふれてしまったものだから。それに、ただお酒を飲んだぐらいで忘れられる程度の辛さなら、私は今も苦しんでいないよ。私の辛さは、消えずにずっとあるんだから」

「そっか。そうだよね。僕は華菜の見えている部分しか見ないで、気になることも怖くて聞けなかったんだもんね」

 彼女の言葉が、僕の心に響いていく。彼女の言っていることは何も間違っていなくて、僕がただ考えが足りなかったと知らされる。

 あの日の彼女の言葉の重さを、僕は測り間違えた。いや、正しく測ろうとすらしていなかった。

 今なら彼女の言葉の意味が、少しはわかる。

 今の気持ちを少し前に持っていたら違った行動をすることができるのにと、僕はどうしても後悔してしまう。

 僕はこれまで様々な失敗、失言、選択ミスをして
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